2011年6月9日木曜日

Treespider Grand Campaign Mod

グランドキャンペーンに手を加えたmodとしてかなり見所のあるのがこのTreespider Grand Campaign Mod。どんなmodか、Treespider Grand Campaign Mod....のスレで作者が説明しているのを紹介します。
GC1をもとにmodをつくることにした。 
1. 関東軍の陸軍部隊と航空部隊のうちのかなりの部分(全部ではない)を永久にrestrictedにして、満州から大量に部隊を引き抜けないようにする。 
2. 中国の基地の数を増やし、守備隊の必要数も増やす。中国北部の平原にはほぼすべてのヘクスにドットベースが配置されるようになる。 
3. ビルマ北部にもドットベースを追加する 
4. 日本海軍の戦闘機飛行隊の中で、分割できる飛行隊を増やす。 
5. DaBabes modを組み込む 
プレイした経験によると、中国戦線は緒戦でゲリラ部隊を一掃してしまうと日本軍は後方を安定化することができ、各基地の守備隊必要数を満たすことだけを気にすればよくなってしまう。この地域には基地の数が少なく補給源もないので、中国軍は後方に退却してゲリラ活動を続けることができない。 
中国北部の耕地ヘクスのほとんどと道路が交差するヘクスすべてとにドットベースを配置して守備隊の駐屯を必須にすることと、それらの基地には少量のサプライが毎日自動的に供給されるようにすることで、ゲリラが活動の拠点とすることができる。 
それでも、史実と同様に日本軍は進出したいところに侵攻することができる。しかし、日本軍が自軍の主要な交通線から離れて基地を占領し始めると、守備隊の必要数が増えてゆくことで薄く広く兵力が分散してしまうことになる。この守備隊の必要数は、中国側にとっても蒋介石が共産党や軍閥の監視に要した軍・軍団をシミュレートしてくれる。 
マップの大部分の地域にSPSが5以上の基地やドットベースがあるので、飛行場を8にまで拡張することが容易だ。例えば、バタビアとSingkawangの間にあるBilliton島の基地は開始時に飛行場規模0だが、速やかに(1942年2月か3月のうちに)4か5まで拡張することができる。史実では日本の緒戦の進攻にとって既存の飛行場が重要だったが、素のWitPの時から変わっていない現在の飛行場と港の建築のルールだと、基地を拡張するのが簡単すぎる。 
このmodでの変更について憶えておくべき点は三つ。 
1. すべての基地が変更されたわけではなく、基地によって変更の程度が異なる。例えば、史実でB-29の基地となったマリアナ諸島は変更を加えられていない。 
2. 攻撃任務は規模2以上の飛行場から出撃することができる。大部分の爆撃機が効率よく作戦するには規模4か5が必要になる。SPS5の地点の飛行場を規模4にまで拡張するよりずっと手間がかかるのは確かだが、SPSが1の地点でも規模4まで飛行場を拡張することができる。 
3. 航空戦のテンポは少し激しすぎるくらいだ。modに飛行場の規模の縮小を盛り込むことにより、空襲の規模が小さくなり、より小さな飛行場から作戦することで故障の頻度と修理の問題が増え、結果的にテンポがよりゆっくりになってくれる。

キャンペーンシナリオにとって最も重要なことの一つは、緒戦の6ヶ月間に首尾よく拡張できる能力が日本にあることだと思う。早い時期に障害物にぶつかってしまうと、ゲーム後半が台無しになってしまう。そうならないように、マレー半島と南方資源地帯の連合軍部隊のexpとmorale、指揮官のleadership値と交替に必要なPPを若干変更した。 
また、日本の拡張の速度を調整する仕組みを二つ組み込んである。一つは上述の関東軍の変更。もう一つは開戦時のアメリカ軍部隊のいくつかのrestrictedの状態を変更してみたことだ。ゲーム付属のキャンペーンシナリオでrestrictedにされているアメリカ軍部隊の多くは、WitP AEの制作途中でrestrictedに変更された。テスターたちが緒戦で連合軍がある戦域から他の戦域に増援を送るのがとっても簡単だということを発見したので、restrictedの状態への変更が導入され、これによりAIのパフォーマンスも向上した。このmodはPBEMを念頭に置いたものなので、この制限を取っ払うことにした。このmodをつかってAI相手のプレーを希望する人は、常識的にプレーしてもらえれば問題ないと思う。

Tweaking the Japanese/Allied Economiesのスレでの議論から経済にも変更を加えた、 
1. 全般的な変更 
A. Resource Centerのリソース産出量を一日あたり20 RPから25 RPに増加  
B. Light Industry (LI) 1あたり一日あたりのリソース投入量を15 RPから25 RPに増加 
C. LIのサプライ産出量を一日あたり1から2に増量  
D. Heavy Industry (HI) 1あたり一日あたりのリソース投入量を20 RPから19 RPに減少(燃料投入量は変更なし)  
E. HIの産出からサプライを削除し、2 HI pointsだけに変更  
F. Refineryの産出からサプライを削除し、燃料産出量を9から10に増量  
2. バラ積み貨物船の積載量を一律33%カット 
3. アメリカの LI center、Resource Cente、Oil Centerの追加 
4. 中国と満州の一部の既存のResource Centerの規模の拡張 
5. 船舶の燃料用に使われた石炭を表現するため、ハルピンと奉天に日産3000のfuelを追加した。日本側プレーヤーはこのfuelを本土に輸送するのにTK's/AO's/YO'sを使わないこと。 
6. オーストラリアにResource Centerを追加した。
WitPAEは太平洋戦争のゲームですが、グランドキャンペーン・シナリオを史実通りのバランスでつくると、PBEMの日本側プレーヤーにとっては非常につまらない内容になってしまいそうです。なので実際にゲームに付属しているGC1は、日本側がかなり有利に進めることでできるようにという意図のもとにつくられたのだろうと思います。私のPBEMは1943年4月までしか進みませんでしたが、貨物船のみならずタンカーまでが余って港に係船され、サプライの生産量は充分で前線の基地も餓えや物資の不足に悩むことはなく、中国では主要な鉄道線を押さえるだけではなく後方でのゲリラ活動は皆無の状態が実現できました。


こういった日本側の何不自由ない状態はおかしいとして、この方はmodをつくることにしたようです。この作者の意図はよく分かるし、その意気やよし。特に「日本軍が自軍の主要な交通線から離れて基地を占領し始めると、守備隊の必要数が増えてゆくことで薄く広く兵力が分散してしまうことになる」というこのmodの仕様は、戦えば連戦連勝だったのに占領地を広げることがちっとも有利ではなかった中国での日本軍の様子をよく表していると思います。また日本の余剰商船問題を解消するために、HIや製油所によるサプライ産出が削除されLIの操業を不可欠にし、LIの減量となるリソースを南方から運び込まないと足りなくなるようにしたあたりも、うまく考えられています。ただ、このSSを見てもらうと分かるように、新たに中国に配置されたドットベースの数の多いこと。実際にこのmodでプレーするかと問われると、このドットベースを見て尻込みしてしまう感じなのでした。
なお、作者が参考にしているTweaking the Japanese/Allied Economiesのスレは、日本側の船舶過剰問題についてかなり突っ込んだ議論がされていて読み応えがあります。

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