2014年6月11日水曜日

LCUのdeviceのアップグレード その2


Tech SupportサブフォーラムにたてられたSquad Upgrade Issueというスレ、先日紹介したLCUのdeviceのアップグレードに関するバグ疑惑を議論するスレですが、これを紹介しようと思います。

Michaelさん、このスレで兵員deviceのアップグレードに関して複数のPBEMどうしで異なる振る舞いをしているようにみえる問題が提起された。Mooseさんが検証の方法と結果を示してくれているし、私も各ターンごとにログとユニットをチェックして気付いたことを述べているのでスレを見てもらうのが一番だ。まとめると、一日にアップグレードできる兵員devcieの数は在庫にある新型の兵員devcieの数によって制限されているということだ。置き換えられた古い兵員deviceは新型にアップグレードされて在庫に戻されるが、翌日にならないと他のユニットのアップグレードには使用されない。Mooseさんの経験したことはそれとは反対で、新型にアップグレードされて在庫に戻された兵員deviceはその日のうちに繰り返し何度も使用されるというのだ。例えば、アップグレードに各91個の兵員deviceが必要なユニット5つが、該当のdeviceが在庫に95個しかないのに、同じ日にアップグレードしてしまった。私の方のゲームではその種の5ユニットがアップグレードするには5日(一日に一つずつ)かかるはずだ。Mooseさんのゲームも私のゲームも最新のパッチがあたっていいて、ともに”x”版のパッチをあてているようだ。必要ならセーブファイルとログを提供するつもりだが、Mooseさんもそうすると思う。 
あなた方のうち、一方は連合軍側で、もう一人は日本側だとか?どっちがどっち ...  
私(訳注:Mooseさん)はサンフランシスコで検証してみた。 
私たち2人は対戦しているわけではない。この有益な知性の戦場 (the Matrix AE forum)でかわされた多角的な議論からこの現象を発見したんだ。 
deviceの補充に関するルールによると、置き換えられ(その後再利用される)兵員deviceは一日待つことになっている。このルールは、置き換えられたdeviceがただちに他のユニットにより再利用可能になってしまうことから生じる種々の問題を回避するためにある。 
ご発言をすこし敷衍させてもらうが、
  • 兵員(squad/engineer)deviceがアップグレードされると、置き換えられた古い兵員deviceは新型のdeviceとして在庫に戻され、しかも再利用には一日分の待ち時間が設けられる。
  • 兵員でないdeviceはがアップグレードされると、置き換えられたdeviceは旧式のまま在庫に戻される。しかも再利用には一日分の待ち時間が設けられる。
これが私のPBEM(最新のx6aパッチをあてたものも含め)で経験したことだ。しかしMooseさんは一日の待ち時間を経験しなかった。そんなわけで、彼は何が起きているのか知りたいと思っていて、セーブファイルなどを提供してくれるだろう。 
私の日本側での経験もその通りだ。連合軍側での経験はないが ...  
はっきりさせるためにいうと、私が検証したのは兵員device、特に1941年型アメリカ歩兵と1942年型アメリカ歩兵についてだけだ。後者の生産は1942年7月に始まる。前者の生産ももう一ヶ月継続して、一ヶ月だけ重なることになる。私の観察したのは、あなたのレスにいうあるべき挙動とは一致しない。一日の待ち時間がなかっただけでなく、一番目のLCUのアップグレードにより在庫に戻されたdeviceがすぐに使用された。これが何度も繰り返された。私は根拠地隊と歩兵連隊について検証してみた。後者では在庫に1942年型歩兵が95個しかないのに5つの連隊がアップグレードできた。この連隊は1942年7月の時点でのTOEで各91個のdeviceが必要としている。置き換えられた1941年型歩兵が旧式なまま在庫に戻され、アップグレード前のLCUの補充にのみ使われるのであれば大した問題ではない。あのスレでAlfredさんがいっていたように、6ヶ月後には在庫の旧式兵員deviceも自動的にアップグレードされるそうだが。
これが私の検証に使用したセーブデータで、x6aのパッチをあてたexeを使用する。head to headモードで、すべてのアニメーションはオフにした。世界中のすべてのdeviceについて補充はオフにした。サンフランシスコだけ補充をオンにした。USAAF base forceはTOEがどれも同じなので、これを検証に使用した。このユニットは1941年型歩兵deviceが12個の状態で始まる。実際に検証してみるには
1) 在庫のインフォメーション画面で1942年型歩兵deviceの在庫への積み増し(Stockpile)を”N”にする。1941年型歩兵deviceの在庫への積み増し(Stockpile)も”N”にする。その他すべてのdeviceは兵員deviceもそれ以外も在庫への積み増し(Stockpile)も”Y”のままにしておく。
2) サンフランシスコでLCU画面でengineerだけが表示されるようにする。USAAF base forceすべてのアップグレードを”Y”に設定する。補充も”Y”に。USAAF base forceをすべてrestモードにする。その他には手を触れない。1ターン1日の設定で実行する。セーブファイルを添付する。拡張子はpwsからjpgに変えてある(訳注:興味のある方は該当のスレからダウンロードして試してみて下さい、私は確認してませんが)。 
Base forceを2つだけと単純化して検証してみた。オペレーショナルリポートにある通り1部隊だけがdeviceをアップグレードした。
Device(s) upgraded in 120th USAAF Base Force supplied from San Francisco
コードを追跡するとこの根拠地隊だけがdevice(1942年型歩兵)を在庫から入手していた。古いdeviceは補充フェーズの後に戻された。しかしもう一つの第117アメリカ陸軍航空軍根拠地隊もdeviceがアップグレードされたとなっている。これはdeviceの在庫から入手したものではない。
どうしてこうなったのか調べてみようと思う。二つのフェーズがある。
1. deviceのアップグレードフェーズ(問題の発端となったスレで議論されていたフェーズ)でのアップグレードは議論されていた通りに制限されている。このフェーズの終了時、古いdeviceは新型となって在庫に戻される。
2. その後、そのターンのdevice補充フェーズがある。この時点で、deviceのアップグレードフェーズで新型になって在庫に戻されたdeviceを、他の根拠地隊が利用できるようになっている。このことは、ユニットのdevice補充の設定をオフにしてみて判明した。
[在庫の新型deviceの数が基準を満たしていれば、 device補充フェーズにもdeviceはアップグレードされるようだ。この検証の対象であるサンフランシスコに位置している根拠地隊に対して、補充源となりうる各根拠地ごとにこの判定が実施されると、アップグレードされて在庫に戻されたdeviceが、別の根拠地(例えばロサンゼルス)からの補充に利用されてしまうということが起きる。つまり、deviceのアップグレードフェーズに根拠地隊1つがアップグレードされる。補充フェーズには、別の根拠地隊のアップグレードに必要な数の新型deviceが存在していて、アップグレードが起きる。その次の根拠地についてもアップグレードに必要なdeviceが存在(前のアップグレードにより在庫に戻されたもの)していて、根拠地隊のアップグレードがもう一つ実行される。こういった仕組みで在庫には新型deviceが13個残ったままで複数の根拠地隊のアップグレードが実現する。サンフランシスコの周囲に多数の大きな根拠地が固まって存在していることにより、この問題を余計にややこしくさせている(訳注:ユニットはその位置する根拠地からだけではなく、サプライの輸送可能範囲にありしかもサプライを充分に保持している根拠地からもサプライの補給やdeviceの補充を受けることのできるルールがあります)。今回の検証の対象となった根拠地隊がハワイのような補充源となる根拠地が限られている場所に位置していたなら、2~3の根拠地隊(1つはアップグレードフェーズに、その後1つか2つが補充フェーズに)がアップグレードするだけで、それほど目立った問題にはならなかっただろう。日本側プレイヤーもアップグレードの対象となるユニットが大きな根拠地の密集している本土に位置していれば、この仕組みにより「利益を受ける」ことができるはずだ。] 
サンフランシスコは大量のサプライを抱えたハブで、National home baseでもある。サンフランシスコは補充フェーズに2つの根拠地隊をアップデートできる。National home baseとして一個を補充し、ついでふつうの補充源としてもう一個。どちらでもアップグレードが起きる。
この仕組みの修正について、2つの案を持っている。
(a) 置き換えられ新型になって戻されるdeviceは、アップグレードフェーズと同じく、同じターンの補充フェーズでは使えないようにする
(b) サプライの状態の良好な複数の根拠地が集中している地域における補充時のボーナスとして、そのまま放っておく

とのことでした。条件が揃う(サプライ貯蔵量の多い根拠地が集中する、national home base近隣の地域に位置するLCU)とdeviceのアップグレードが芋づる式に行われてしまうこの問題は、このスレで問題になったあともこのまま放置されています。修正に伴うゲームバランスに与える影響は大きくないという判断があるものと思われます。さて、このスレと直接の関係はないのですが、deviceに関連したことで感じたことがあるので、以下にその感想を。なお、deviceというのは電子デバイスなどという言葉が一般化しているように、デバイスと音訳すべきなのでしょうか。それとも構成要素とか部品などと訳すべきか。どうもどちらもしっくりした感がないのでdeviceのままにしておきました。

このゲームのユニットはdeviceから構成されています。たとえば陸のユニット(陸軍部隊(地上部隊、LCU)をみてみるとこの120th USAAF Base Forseは
  • USA RifleSquad 42
  • 20mm Mk4 Oerlikon
  • 40mm M1 Bofos
  • 90mm M1A1 AA Gun
  • SCR-270 Radar
  • Engineer Vehicle
  • Engineers
  • Motorized Support
  • Support
9種類のdeviceからできています。このゲームのdevice=武器というわけではなく、 USA RifleSquad 42のような歩兵分隊もdeviceとして扱われています。きっとこのUSA RifleSquad 42というdeviceは、歩兵12名(12名でいいのかな?)のほかにライフルや支援火器、弾薬、レーション、トイレットペーパーなどなどまで含んだ概念なんだと思います。同様にMotorized Supportというのは、トラックだけでなくドライバー、スペアパーツ、ガソリンなどを含んでいる、そう考えるべきなのでしょう。いっぽう、空のユニットは航空機で、各機種ごとにその機体を構成するdeviceが定義されています。また、海のユニットは艦船で、各艦種ごとに艦体に装備されるdeviceが決められています。

こう見てみると、陸のユニットと空・海のユニットの大きさの違いに気付きます。陸のユニットは大隊~師団規模がふつうです。飛行場で整備業務を行うユニットには中隊もありますが、ごく少数です。また中国軍には軍団もありますが、中国軍は師団の規模が小さくまた充足率も低いので、軍団とはいっても規模的に他の国の師団と大きな違いはありません(というか、かえって小さいくらい)。つまり陸では数百人から2万人弱が1ユニットなわけです。それに対して、海は一隻、空は1機。戦艦や空母なんかは千人以上が乗り組んでいるからまあ全く理解できないというわけでもないのですが、空は1機ですからね。やはり、陸と海・空のユニットのスケールの違いは大きいのではと。

ウォーゲームを制作する際、どんなスケールのゲームにするのか、時間と距離の縮尺をどう選択するのかというのはデザイナーの腕の見せ所の1つなのかなと想像します。このゲームは1ターンが1日で、1ヘクスの大きさが46マイル。100km以上先に空襲に出かけることのできる空のユニットはもちろん、一晩のうちに9ヘクス先まで航海して任務を果たす艦砲射撃TFや東京急行の存在を考えると海のユニットに関してもこのスケールがしっくりきます。また、一機ごと、一隻ごとに戦闘を処理する海戦・空戦ルーチンもそれなりにうまくできていると感じます。

それに対して、陸のユニットとこの1ターン1日、1ヘクス46kmとの相性はどうなんでしょう?このゲームの陸のユニットも鉄道や1級道路をつかった戦略移動(後者はアメリカと英連邦の陸軍のみが可能)では1日に5~7ヘクス移動できますが、これはあくまでも戦線はるか後方でのこと。前線での移動は道路のしっかりした平地で2~3日で1ヘクス、道なきジャングルだと4週間近くかけてやっと1ヘクス移動できるだけです。空や海の戦いにベストマッチのスケールを選択したがためにこうなってしまったのではと感じます。また、フォーラムでもこのゲームの陸戦に満足していない人が多い印象です。小さな島の取り合い(上陸侵攻)だと大きな破綻を来してはいませんが、複数の根拠地を持つ島、つまり複数のヘクスからなる機動の余地のある島(ジャワ島や本州など)や、特に大陸で複数の師団以上が対決するようなスケールの陸戦はいまいちかなと私も思います。その原因のひとつにユニット・時間・距離のスケールのミスマッチがあるのかなと。

大隊から師団規模のユニットが主役となる陸戦主体のゲームをデザインするとしたら、わざわざこのスケール・縮尺を選択するんでしょうか? 私はウォーゲームに関する経験に乏しく、特にボードゲームはまったく知らないので、良く知っている方々にご教示いただきたいものです。

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