2010年5月13日木曜日

The Air Mission Coordination Guide v2!

1) AEと素のWitPのAir Mission Coordinationの違い
素のWitPと較べて空対空戦闘が大きく変化したことはよく知られている。指摘されているCoordinationの問題の中には、素のWitPからの変化が大きかったのに、素のWitPの視点でAEの空対空戦闘の結果を見た際にそれを理解しにくいことに由来する部分がある。
整理してみると
素のWitPでは、coordinateされた攻撃(戦闘機は爆撃機を完璧に護衛して、CAPは護衛戦闘機との戦闘を済まさないと爆撃機にたどりつけない)か、またはcordinateに失敗した攻撃(爆撃機がばらばらにされてしまう)の2通りしかなかった。元祖WitPをプレイした人ならよく分かるように、結局は空の大量殺戮となってしまった。300~500機の参加する空戦では、50%以上の飛行機が失われ、たいていは不利な側がひどい目にあわされたものである。
これのどこが非現実的かというと
たとえば、100機もの飛行機が参加する第二次大戦時の空戦を考えてみよう。原始的なレーダーや初歩的な無線器機しかなく、各機種の燃料消費率・巡航速度が異なり、天候の影響を受けやすい(小さな雲があっただけでも、乱れた編隊は本来あるべき位置に戻ることを妨げられる)。これらすべての要素が一緒になると編隊は10平方マイル以上にまで広がってしまい、先頭は後ろで何が起きているか見ることもできず、後ろは後ろで先頭に何が起きているのか分からないという状態が、数時間におよぶ飛行中ずっと続くこともあった。
このように多数の飛行機が参加する攻撃は、最適な条件下でもいくつかに分かれてしまうもので、そのうちの一部はcoordinateされた攻撃となり、一部はcoordinateが実現しない。護衛機は戦闘に参加して爆撃機から引き離され、
会敵の後に編隊に戻ることもあるし、ダメージを受けた場合には単独で帰投することにもなる。
CAPは、爆撃機編隊の護衛に隙のある部分に食いつくこともあるし、かえって護衛戦闘機に不意をつかれてしまうこともある。
こういったことのすべてが延々と繰り広げられ、時には空戦は数時間にもおよぶ。
素のWitPを振り返ってみると、空対空戦闘はこんなふうには起きなかった。ほとんど常に、ある日ある場所で一つの大きな戦闘が起きて、不利な側に手ひどい結果が出たものだ。実際に同様な結果が出るのには何週間もかかるだろうに。
AEについて知りたいのに、延々と素のWitPの話をするのはどうしてか
私は、大きな変化が起きたことと、素のWitPの視点で新しい空戦システムを見ることがなぜ間違っているのかとを強調したかったのだ。
上で強調したように、大きな空襲部隊が目標にまとまって同時に到着することはない。ほとんどの場合、空襲部隊はバラバラに分かれて目標を攻撃し、最後の部分が目標を目にするよりも前に、多くはすでに長い帰途の途中にあったりする。
AEがシミュレートしようとしているのはこういった状況である。coordinationの欠如と私たちがみなしているものも、実際にはシステムが意図的に攻撃部隊をバラバラに分けて、多くはcoordinateされた状態だが、残りの一部の到着が速すぎたり遅すぎたりして、護衛がついたりつかなかったりしてしまうことなのである。
しかし、これらすべてが一つの(coordinateされた)空襲の表現であって、ある大きな空戦の個々の場面に対応していると想像してもいいだろう。そしてこれこそが、一部の爆撃機が編隊から分かれて護衛機もつかない状況となり、残りの爆撃機は戦闘機の援護のもとかすり傷も負わずに目標まで到達するような状況下のコンバットリポートの中に私たちが見るものなのである。
上記のまとめとして、うわべはcoordinateのとれていない攻撃にみえるものは、第二次大戦時に複雑な空襲を実現することが困難だったことを反映するため意図的に導入されているものであり、また素のWitPではあまりに頻繁に生起した大規模な空戦が起こらないようにするためでもあることを強調しておきたい。
2) 空襲のcoordinationに影響する因子
空襲をまとまりのあるものになるかどうかには、多くの因子が影響を与えている。それらの因子のうちの一部に問題があるだけでも、空襲部隊が細切れになり敗北を喫するのに充分な理由となり得るし、また良いダイスの目が出てすべてがうまく運ぶということもある。
結果に影響する因子の影響力自体は素のWitPより小さくなっている。なぜかというと、よりリアルになったから。空襲は細部まで計画することができるが、ひとたびエンジンが回転し始めれば、空襲の司令官、部隊の指揮官、個々のパイロットにすべてはまかされる。一人の失敗がすべてをダメにしてしまうこともあるだろう。また、気象前線が完璧にcoordinateされていた編隊を分けてしまい、その後は一部しか合流できないということも起こりうる。
以下の因子が空襲のまとまりに影響を与えることがある。なお、これらの因子は良い方向にも悪い方向にも影響を与えうる点を中止すべきである。6個のダイスの目が良いものであっても、一つの悪い目によって悪い結果がもたらされることもある。他方、良いダイスの目が悪い目の悪影響をある程度打ち消してくれることもある。そして、一つの決定的な因子というのが存在しないようにデザインされている。
  • 機種(どんなに努力してみても、B17はSBDと編隊を組もうとはしないし、F4FがB29を護衛するのは無理)
  • 巡航速度(機種と同様)
  • HQ
  • 飛行高度のcoordination
  • 天候
  • 攻撃元の基地
  • 目標までの距離
  • 爆撃機の基地と護衛戦闘機の基地との距離
  • 指揮官のステータスと部隊のEXP(すべての部隊が勘定される。もしある部隊の指揮官がろくでもないやつだったら、とんでもないことになるかも)
  • 護衛戦闘機の基地が爆撃機の基地からよりも目標に近いか遠いか(近い方がいい)
  • Extended rangeでの攻撃か、normal rangeでの攻撃か 

これらの因子それぞれが、素晴らしい空襲になるのか、ひどいものになるのか、その間のどこか程度になるのかを決定する。なので、ふつうは”その間のどこか”程度の空襲を目にすることになる。また、プレイヤーがコントロールできる因子とそうでないものがあることにも気づくだろう。
なので、以下に挙げる例は、上記の限定を前提としたうえで、正当なものである。
ゲームシステムは、飛行高度、航続距離、目標にしたがって、coordinationさせようとする。
まずは、一つの基地Aから発して一つの目標Bを攻撃する場合から考えてみよう
1) A基地の戦闘機一部隊と爆撃機一部隊で、B基地に対してcoordinateされた攻撃をしたい場合
これは単純で、だれでもどうすべきか分かるだろう。単に、戦闘機の飛行高度を爆撃機の高度と同じに設定すればいい。(戦闘機の目標はBに設定してもいいし、しなくてもいい)
ゲームエンジンはこの設定を理解して、攻撃をcoordinateされたものにしようとする。指揮官のLeadership、パイロットのExp、天候、ダイスの悪い目によってはcoordinationが実現しないこともあるが、爆撃機と護衛戦闘機が同時に目標に到着する可能性は高い。
2) A基地の戦闘機2部隊と爆撃機2部隊で、B基地を攻撃したい場合
この場合には、選択の余地がある。
すべての部隊の高度を同一に設定すれば、ゲームエンジンは1)の場合と同様にcoordinateしようとする。参加する部隊の数が増える(Leadership値のチェックやその他にもダイスが振られる回数が増える)ので成功の確率は少しだけ低下するが、まずは4部隊が同時に目標に到達することになるだろう。
もう一つ別のやり方がある。戦闘機と爆撃機の一部隊をある高度、例えば10000に設定して、もう一つずつの戦闘機と爆撃機の部隊を11000に設定することもできる。
結果はどうなるのか。ゲームエンジンは高度のチェックをふつうに行って、2つのcoordinateされた空襲を実現しようとする。
第一の戦闘機と爆撃機が組み合わさって、第二の戦闘機と爆撃機が組み合わさって目標に到達する可能性は高い。
また4部隊の目標が同一なので、ゲームエンジンはもう一つのチェックを実施することになり、4部隊が同時に目標に到達する可能性が少ないながらもある。
2番目のやり方の利点は何だろうか。
2番目のやり方では、それぞれの組み合わせがより小さいのでcoordinationを実現する可能性が高くなる。
なので、全く護衛のつかないはぐれた爆撃機が目標に向かう可能性がいくらか少なくなる。40機の空襲をcoordinateするのは、80機からなる空襲をcoordinateするより簡単。
3) A基地の戦闘機2部隊と爆撃機2部隊で、敵B基地に加えて敵基地Cも攻撃したい場合。敵基地BとCへの距離が同じ場合から考えてみよう。
B基地には護衛戦闘機をつけた攻撃を、C基地には戦闘機が配備されていないことが判明しているので護衛なしの攻撃を行いたいものとする。
そのためには、B基地に向かう爆撃機の高度をたとえば10000に設定し、
戦闘機2部隊は目標を設定せず高度を同じ10000に設定する。第二の爆撃機部隊の目標はC基地で高度は11000に設定する。
ゲームエンジンは高度のチェックを行って、第一の爆撃機部隊が両方の戦闘機部隊とcoordinateしたがっていることを理解する。なので、B基地には護衛付きの攻撃が、C基地には護衛なしの攻撃が実現する可能性は高い。
4) これが最後で、最も複雑な例だが、設定をうまくつかうとcoordinationを達成できることを示そう。
攻撃側にはA, B, Cの3基地があって、防御側にはD, Eと2つの基地がある。
AとBには爆撃機だけが配備され、Cには戦闘機が配備されていて前線に近いところにある。
厳重に防御されている基地Dと、防御は軽度だけれどもどうしても攻撃を成功させたい対象である基地Eに対して、coordinateされた空襲を行いたいものとする。
この場合、攻撃に参加する部隊の数は重要ではないが、参加する部隊の数が増えるほど、個々の攻撃がcoordinateを実現する確率が減ることは記憶しておいてほしい。
まず、それぞれの爆撃機にどの基地を攻撃させるのかを選択する。ここでは、A基地の爆撃機全部をE基地攻撃に振り向け、さらにE基地攻撃を確実なものとするためにB基地の爆撃機も一部はE基地へ、残りはD基地攻撃に向かわせるものとする。
つまり、
A基地:すべての爆撃機の目標をE基地、高度を10000に設定する。
B基地:半分の爆撃機の目標をE基地、高度を10000に設定し、残りの爆撃機の目標をD基地、高度を12000に設定する。
つぎに戦闘機だが、指示通りの護衛を実現し、なるべく失敗の余地を少なくしたい。
先ほど説明したように、D基地は厳重に防備されている。そのため、戦闘機の70%は高度12000、SweepまたはEscort任務のお好みの方に設定する(目標はD基地に設定してもしなくてもいい。高度の設定で充分だから)。残りの戦闘機は高度10000、SweepまたはEscort任務のお好みの方に設定する。
これに対してゲームエンジンはどう反応するか。
ゲームエンジンは高度をチェックして、あなたが、B基地の爆撃機の半分をD基地の爆撃に向かわせ、C基地の戦闘機の70%をその護衛につけたいと考えていることを理解し、それを実現しようとする。また、A基地の爆撃機全部とB基地の爆撃機の半分とをC基地の戦闘機の30%で護衛させてE基地攻撃に向かわせたいことも理解して実行しようとしてくれる。
もし、他の条件が許せば、2つの見事にcoordinateされた空襲が実現する。自体を悪くさせる条件がほかにもいくつもあるが、このやり方なら成功の確率を最も高くすることができる。
Do´s and dont´s: 
  • ある地域での別々の空襲は高度を違えておく。これは、不必要にゲームエンジンを混乱させないために重要なことである。
  • 同じ地域でcoordinationさせる必要のない任務を与えた部隊(偵察任務がその代表でしょうね)にも、他とは違った高度を設定する。
  • Sweepは空襲の前に行われることが望ましいものだからといって、必ずSweepが空襲に先行すると考えておいてはいけない。Sweepが空襲に先行すると考えてよいのは、高度が同一に設定された場合だけである。
  • 250機もの編隊による太陽も暗くみえるような大空襲に比較して、ちいさな部隊による攻撃の方がcoordinationが実現する可能性が高い。少数機で目的を達成できるなら少数機で行うべき。また、激しい抵抗が予測される目標に対しては、大きすぎてcoordinationが難しく護衛なしの攻撃をしてしまう可能性のある一回の攻撃よりも、高度を違えた少数機の組み合わせを計画する方が良い場合もある。
  • 影響する因子が他にもあることを忘れてはいけない。目標までの距離、機種、自基地と目標の天候、leadership値、パイロットのExp値。これらの因子も最適化すべき。
  • 防御の厳重な基地に対して、まずい指揮官にひきいられた訓練不十分な多機種の部隊で多方向から雷雨の日に攻撃し、攻撃以外の任務もどう高度に設定するようなやりかたは、相手の士気をたかめることにつながるだけだ。
  • 航空戦闘においてHQは、攻撃により多くの機数を参加させるだけでなく、大きな空襲でのcoordinationを容易にするといった重要な役割も果たす。
  • coordinateされた空襲を実現するためには、機種とそれぞれの巡航速度が大きく影響する。
  • 別の基地の戦闘機に護衛させたい時には、爆撃機の基地よりも戦闘機の基地の方が敵に近いことを確認すること。
  • long/extended rangeでの攻撃を計画する際には、long/extended range自体がcoordinationに失敗する可能性を高めることを考えておくこと。

前回のエントリーで触れた The Air Mission Coordination Guide v2!です。v2となってから以前よりも内容が豊富になったと思います。特に、素のWitPとの比較が関して多く言及されている点が一番の違いかもしれません。私はUVは知っていますが、素のWitPは知らないので今ひとつピンと来ませんが。

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