コンバットリポートにCAPについた戦闘機隊名が表示されるのに、攻撃側の飛行隊の名前が表示されないのが説明した Puzzling detail in air combatというスレがありました。いままで、なぜそうなっているのか考えてみたこともなかったのですが、物識りのAlfredさんの説明になるほどと感じとても勉強になったので紹介します。
自分が攻撃側の空戦では相手の飛行機の所属する飛行隊の情報が得られる。守備側の空戦ではそういった情報は得られない。どうしてこんなふうになっているのか、その理屈がわからない。
かつては防御側での空戦の際にも、攻撃側の機体の所属する部隊が報告されていた。敵のどの空母が攻撃してきているのかを明らかにしてしまうことにもなるので、変更された。私も敵機の所属する部隊の名前が報告されることがあるのを知ってはいるが、それが攻撃側の時に報告されるのか守備側の時に報告されるのかには注意を払っていなかった。
Alfred:それにはこういったわけがある。
1. 2011年1月20日にtheElf(訳注:Devチームのひと)が以下のように述べている
私たちの目標としていることのひとつに、作戦がなぜ成功・失敗したのかをプレイヤーが理解できるよう、個々の戦闘の結果を提示するというものがある。
この原則は、このゲームが提示する全てのメッセージ、情報に当てはまる。スレ主さんの質問のケースもこの原則によく当てはまる。
2. 双方のプレイヤーが同じコンバットリポートを入手する。プレイヤーが攻撃側であろうと守備側であろうと同じ様式で提示される。攻撃側と守備側に別々の様式で提示するようコードするのは割にあわない。
3. コンバットリポートは攻撃側の機体に関する情報よりも守備側のCAPについてより詳細な情報を提供してくれる。これは上記1で指摘した点にちょうど対応していて、プレイヤーが戦闘を理解し戦闘から学ぶのに有用な情報というのはCAPのデータから得られるものだからだ。攻撃側も守備側もCAPに関する情報を提供してくれるコンバットリポートから得る点が多い。
4. コンバットリポートは、将来の作戦を準備するうえでプレイヤーが解析すべき攻撃側に関する基本的なデータを4つ提供してくれる。
(a) 飛来する敵機の推定高度
この情報はとても"rubbery"(訳注、このrubberyの意味がよくわかりません。原文でも引用符がつけられているので、伸縮するゴムのように正確な情報がとらえ難いとでも言いたいのでしょうか)だが、飛行隊どうしの連携がうまくいっているかどうかのヒントを与えてくれる。また敵の主な目標とする高度がどの程度なのかのヒントを守備側に与えてもくれる。攻撃側の飛行機がさまざまな高度で接近しても、そこから敵の指示した高度を推測することが出来るものだ。
(b) 敵機の探知から来襲までの推定時間
攻撃側に、守備側のレーダーの性能のヒントを与えてくれる。(a)と(b)で攻守同点だ。
(c) 天候
うまく視認できるかどうか、特に複数の飛行隊による高度をずらせたCAP(訳注:layered CAP)の時には問題になる。またなぜ結果が予想外だったのかを説明してもくれる。
(d) 爆弾の投下された実際の高度
これこそが、将来の作戦を立てる際に守備側が知るべき攻撃側に関する最も重要な情報だ。急降下爆撃、緩降下爆撃、水平爆撃のどれがあったのか、攻撃隊は通常の攻撃距離を飛んだのかそれとも遠距離攻撃だったのかといった攻撃の内訳を教えてくれる。「対価なし(訳注:同等の情報を守備側が開示することがなく、攻撃側のみが情報を提供するという点を対価なしといっているのでしょう)」に守備側が得ることのできる唯一の情報だ。守備側が「対価なし」に得ることのできるその他の情報はコンバットリポート外の情報で、コンバットアニメに表示される航跡線やメッセージがそれにあたる。
5. 攻撃側は攻撃している部隊が何なのかをもちろん知っているし、上記4(d)項が備忘録としての役割を果たしてくれるので、攻撃している部隊の正体までコンバットリポートに明かす必要性はない。守備側のCAPのとりうる高度が広範にわたることに比較すると、攻撃高度のバラエティは小さく、結局は爆弾を投下する高度のみが問題だ。攻撃隊の正体を明かしてしまうと、個々の戦闘から判明して当然だとまではいえないような重要な情報を守備側が知ることになってしまう。
6. 同じく、コンバットリポートは守備側に対して4(a)、4(b)、4(c)項の情報を与えてくれる。守備側について攻撃側が対価なしで得られる情報は、細部にまでわたるCAPの構成だ。提供されるのは:
・パトロールの高度
・滞空中の機体、スタンバイの機体、呼び出された機体などの数
・迎撃までの時間
これは両軍のプレイの改善に資する重要な情報だ。守備側のプレイヤーにとっても、複数の同じ機種装備の部隊にCAPさせているときにはそのそれぞれの様子を知ることができて役に立つ有。この情報がないと、どちらの部隊に修正を加えるべきなのかが分かりにくい。
7. コンバットアニメでは攻撃側の部隊名が表示されることがある。護衛戦闘機であろうと爆撃機であろうと士気のチェックでふるい落とされ戦闘から退くと、その部隊名が表示される。戦闘による損傷や燃料の不足により帰投せざるを得なくなった敵機は部隊名を表示されることがない。他方、ある種の攻撃任務を指示された爆撃機もコンバットアニメで部隊名が表示される。これらはコンバットリポートからはわからない情報で、コンバットリポートを注視するプレイヤーだけが得ることが出来る。コンバットリポートだけに頼っていたのでは、戦闘結果を本当に理解したことにはならない。
このゲームにはプレイアビリティを改善するために抽象化されているものが多々ある。また古いコードにあわせるために抽象化されたものもあり、これもそのひとつだ。もしこういった情報がプレイヤーに提供されていなければ、戦闘結果を解釈できず自分の指示をどう修正すればいいのか分からないままのプレイヤーからもっと声高に不満が訴えられていたことだろう。これに限らずDevチームはゲームプレイに役立つフィードバックを提供してくれている。WitP AEがシミュレーションではなくゲームだということがそういった姿勢の基本にあることを銘記しておいてほしい。
いつもながら、すっきりした説明だ。でも本当に空戦を理解しようと思うなら、コンバットアニメの進行をゆっくりにして、全てをメモしなければならないようだ。さもなければ、これまでと同じまま..... ありがとう、Alfredさん。
ということで、久しぶりにコンバットリポートの一部を載せてみます。2月11日の楚雄の飛行場の爆撃に向かった連合軍双発爆撃機とCAPの二式戦との空戦です。図の丸付き数字はオリジナルにはなく、行ナンバーとして私が加えたものです。私なりにこれを解釈してみると、以下のようになります。
①行目、空戦フェーズは午前と午後の2回ありますが、これは午前の空戦。空戦のあった場所がTsuyung(楚雄)という地名とヘクスを表示する数字で表示されています。
②行目、天候、この日の楚雄は小雨でした。
③行目、推定高度7000フィートで接近する敵編隊が距離20マイルで肉眼で確認されました。監視哨などにつめているヒトの眼ではなく、レーダーが発見した際にはdetectedと表示されます。
④行目、敵機来襲までの時間は6分
⑤行目、空戦に参加した日本機は
⑥行目、二式戦(Ki-44-IIc Tojo)で37機
⑦行目、空戦に参加した連合軍機は
⑧行目、ブレニムVD型(Blenheim VD)
⑨行目、ハドソンIIIa型(Hudson IIIa)
⑩行目、ウェリントンIc型(Wellington Ic)
⑪行目、日本側の被害は
⑫行目、日本機の被害がなかったので、この行は空白
⑬行目、連合軍の被害は
⑭行目、ブレニム:撃破されたのが3機、損傷したのが2機
⑮行目、ハドソン:撃破されたのが3機
⑯行目、ウェリントン;撃破されたのが1機、損傷したのが1機
⑰行目、爆撃の戦果、飛行場サービス施設に命中弾4
⑱行目、爆撃の戦果、滑走路に命中弾2
⑲行目、攻撃した機体の情報
⑳行目、ハドソン8機が高度6000フィートから投弾。楚雄にやってきた13機のハドソンのうち3機が撃破され、投弾したのが8機ということは、2機が怖じ気づいて投弾前に引き返したものでしょうか。撃破された3機がすべて投弾前だったとは限らない(このへんはコンバットアニメを熟視しないと分からない)ので、びびって逃げたのは2機より少なかった可能性もあります。
㉑行目、250ポンド爆弾を各4個ずつ飛行場に投下
㉒行目、ブレニム6機が高度6000フィートから投弾。文末にアステリスクがつけられているのは、楚雄がブレニムの通常の攻撃圏normal range内にはなく、extended range長距離を飛んだことを意味します。長距離を飛ぶために燃料の搭載量が多くなり、爆弾の問う最良が半減しています。この文末のアステリスクが、低高度からの爆撃を意味することもあります。attack bomberに分類される機種以外の低高度爆撃は爆弾搭載量が半減するルールです。
㉓行目、250ポンド爆弾を各2個ずつ飛行場に投下。爆弾搭載量半減ルールのため、わずかに2個ずつ
㉔行目、ウェリントン1機が高度6000フィートから投弾。3機のウェリントンのうち、1機は投弾前に撃墜され、1機は損傷して投弾前に引き返し、残りの1機のみが投弾にいたったということでしょうか(他の可能性もあり、正解はコンバットアニメをみないと分からない)。
㉕行目、500ポンド爆弾を8個を飛行場に投下
㉖行目、空戦に参加したCAPは
㉗行目、二式戦装備の78戦隊(滞空中 19、スタンバイ、0、スクランブル 0)
㉘行目、19機がこのヘクスのCAPを支援するために流用された
㉙行目、19機が迎撃中。流用されたとはいってもこの19機はこの楚雄のヘクスに滞空中だったようで、迎撃に要した時間の記載がなく即対応できたようです
㉚行目、CAPの高度は3万1000フィート
㉛行目、これまでの経験によると、“Raid is overhead”というのはうまく迎撃できた時につかわれる表現のように感じます
㉜行目、二式戦装備の85戦隊(滞空中 18、スタンバイ、0、スクランブル 0)
㉝行目、18機がこのヘクスのCAPを支援するために流用された
㉞行目、18機が迎撃中
㉟行目、CAPの高度は1万フィート。78戦隊と5戦隊でlayered CAP(高度差を利用したCAP)をしています。
㊱行目、うまく迎撃できた
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