2月19日に発売開始となったBanishedですが、久しぶりに面白いゲームに出会えました。私が予想していた以上に売れ行きが良いようで、みなさんの中にもすでにプレイした方がいることでしょう。Banishedはシティビルド系のゲームですが、シムシティ最新作やシムシティ4に比較してもグラは地味で、初代のTropicoをもう少し洗練した印象です。でもTropicoとは違って特別なミッションが用意されているわけではありません。じゃあ、村をどんどん大きくして行くことが目的かというと必ずしもそうともいえません。フォーラムをみると、すでに数百人の規模の村に成長させたっていうゲーマーさんがたくさんいるみたいですが、小国寡民を目標に人口は数十人程度にとどめたいという私のような人もきっといることでしょう。ゲームの進行速度にはx1、x2、x5、x10の4段階が用意されていますが、私は小さな村の村人たちを一番ゆっくりなx1の速度にして眺めるのが好きです。発売早々、大きな村に育てている人たちは、きっといちばん速いスピードでプレイしているんでしょうね。スクリーンショットは開始後7年目で、まだ狩猟採集の段階です。商人がやってきて羊はなんとか入手できたのですが、その他の家畜や農作物の種子は未入手なのです。あと、文字が小さいでしょ。オプションで大きくもできるんですが、そうするとくっきりした文字で無くなってしまいます。大きなモニタ用につくられたUIではないですね。
人口が多くなると(ゲームの仕様に起因するものも含め)いろいろな問題が起きてくるようです。でも、人口が少ないからといって充分な水準の衣食と生活の充実感を村人に提供し続けるが簡単だというわけではありません。実際、このゲームには詳しいマニュアルが用意されているわけでもないゲーム内にいろいろと説明してくれるヘルプがあるのに気付きました。これまでに何度か試行錯誤を繰り返しました。例えば、このゲームの村人には年齢(一年で5~6歳としをとるので厳密には”年”齢ではない)の概念があって、高齢(いままでに経験した最長寿者は81歳)になると死亡します。だいたい同じくらいの年齢の成人が10人前後いる状態でゲームは始まりますが、この団塊の世代はだいだい同じ頃に死亡してしまうので、その頃までには後続の世代を育成しておかないと村は衰退のスパイラルにはまってしまうのです。平均的な生存年数、労働に従事する年齢(教育を受けると17歳、教育を受けないと10歳)などから、安定して存続できる人口には下限があるようです。
“村”を育成するゲームと書きましたが、シミュレーションゲームである点を考慮しても、このゲームの村は村ではありません。というのも、(1)収穫物・農地などの私有制度がない、生産して得たものは村全体の共有、(2)村人は狩猟・漁業・伐採・農業・物流などの職種に従事するが、その職種のベテラン職人にはなれない、新人もベテランも労働能率は同じ、(3)学卒者と教育を受けていない人とでは労働効率に差があるが教育の有無による報酬の差はない、つまり能力に応じて働き必要に応じて消費する、といった設定になっているからです。こうしてみると、村というよりは、人民公社の育成のゲームといった方が正しいように感じます。
今後、mod製作用のツールが提供される予定だそうです。このゲームの仕様のうち、どこまでがハードコードされていて、どこからmodで変更できるのか、まだModdingのスレは覗いたことがないので分かりません。でもグラなんかはかなりの改善が期待できるでしょうね。またゲームに出て来るアイテム、動物や農作物や建造物なども当然追加することが可能なのだろうと思います。たとえば、バニラでTailorのつくれるものは防寒用のコート3種だけですが、藍や茜といった染料の原料となる植物を生産して、村人が衣服を個性化できるようになったり、小麦を製粉してパンを焼けるようになったりなどなど、ゲームの発展に期待したいと思います。
さて、このゲームのmodで可能なのかどうかというと疑問ですが、個人的に一番期待しているシティビルドゲームは、歴史人口学や経済史の成果を生かしたシミュレーションゲームです。土地の土着の領主がプロモーターに委嘱して先進的な生産技術をもつ地域の人たちを勧誘して新開地に村をつくらせる、村が軌道に乗ったら地代・税金の徴収が始まる、単婚小家族化と相続の変化、時代の経過とともに生産技術の進歩で消費水準が上昇し余暇が生まれる、近隣に都市のあれば学校卒業後に奉公に出かけるようになり晩婚化が起こる、教育を受けることにより間引き以外に晩婚化や授乳期間の長期化による産児数制限が自覚的に行うようになる、ギルドの束縛のない村に作業場を設けられるようになる、などなど。シムシティはDRM以外にはなんの意味もないオンライン化でしたが、多数の人が中世の村を育成していくと近代の夜明けを迎えることになるオンラインゲームなんてあってもいいかなと思うのです。
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