2011年5月14日土曜日

The Reluctant Admiral

DaBabesについで有名なmodであるThe Reluctant Admiralについてもみてみました。詳しい仕様の説明というのは見当たらないので、このmodを紹介したReluctant Admiral Feedbackというスレの最初のところにある説明を以下に紹介します。これは一年前のポストで、この後にもスレは続きますから、それを読むともっと理解が深まるのでしょうが、まずはさわりだけ。
The Reluctant Admiralは日本側の仮想シナリオで、山本五十六提督の貢献に多くを負っている。このシナリオは、山本がまず日本の航空機工業(海軍機)にずっと大きな影響を与え、ついで海軍次官として、そして海軍大臣として実際よりも大きな影響力を持ったという仮定を前提としている。連合艦隊の指揮をとる以前から、山本は命の危険を顧みず彼自身は望んでいなかった戦争のための準備をするという選択をした。
この選択に際して、大和級戦艦の3番艦4番艦を翔鶴級空母と高速巡洋戦艦に置き換えるようマル4計画を変更した。他にもマル4計画に追加された艦艇がある。日本海軍航空隊はゼロ戦にすべてをかけ、艦上機型とともに迎撃に特化した陸上機型をつくった。航空基地の開設と拡張を要するという山本の予測にしたがって、設営隊や設営用の車両が増やされた。海軍工厰・重工業・造兵厰の新造拡張は、日本経済の大きな負担となった。
シナリオ(シナリオ1に基づいている)の開始時には、航空機が少し増えていることと3隻の軍艦が加えられていることを除けば、大きな変更はない。山本提督の予見は1942年と1943年前半に、日本のOOBに加わる新しい軍艦と航空機という形の成果をもたらすだろう。
これらの新たな道具を日本海軍としてどううまく使うか、また連合軍として日本海軍をどううまく扱うかはあなたにかかっている。
デザイナーズノート:このシナリオをプレイするには、Productionはオンにしておくこと。
このmodの起源は、素のWitPの時代にAlikichiと筆者がマル4計画について議論した時にさかのぼる。その議論以来、筆者は山本提督に関して多くの本を読み、日本の直面している問題についての彼の洞察に感銘を受けた。私たちの多くが、一般論としてはこのことを知っているが、彼が実際にどう発言したかどう行動したかを実際に読んだことのある人は少ないだろう。このシナリオは、彼の自伝やKaigun(訳注:おそらくアメリカで出版されたこの本でしょう)に示されている彼の希望の多くを反映している。
このシナリオは、山本が1936年に海軍航空本部長に、その後海軍大臣に就任し、日本の海軍航空の発展を後押しし、設計と生産の限られた能力を最適化したということを仮定している。航空機の各設計チームの主任者は開発の方向を設定するのにより大きな助力を受け、また航空機メーカー間の協力関係がもう少し良かったことを仮定している。
特に、迎撃専用の陸上基地機の計画は放棄され、堀越二郎傘下の三菱の戦闘機設計チームは全力をA6Mの改良と後継機であるA7Mの開発につぎ込むことができるようになる。より強力な三菱の金星エンジンをゼロ戦に搭載するという堀越の提案が1944年でなく1942年に認可される。A7Mは、最初から堀越の希望通りに三菱のHa-43エンジンを搭載する仕様で開発される。A6M3は、航続距離を犠牲にして武装とパイロット防御を優先するコンセプトで開発されゼロ戦の生産全体を置き換えることが計画されたが、やがて公式には陸上機型とみなされた。川西の開発チームが会社のプロジェクトとしてN1K1-J紫電を開発する(これは史実より早く出現する。というのも史実で川西にゆだねられた陸上迎撃戦闘機の開発計画がこのシナリオには存在しないから)と、日本海軍はそれまで維持して来た一つのタイプの単発戦闘機ですべてをまかなう方針を放棄した。紫電はA7Mが使用できるようになるまでの場つなぎとして採用された。
三菱の金星エンジン(Ha-33)とHa-43エンジンの開発生産に注がれた大きな努力のおかげで、史実でこれらのエンジンを使用した航空機(史実で敗戦までに原型機がつくられたもの)がいくつかこのmodに採用され、より早く出現する。
航空機の武器の開発も整理され、陸軍の武器への統合がより強力に押し進められる(史実でも、航空機の武器開発に関して陸海軍は協力したが、このシナリオではそれがさらに広範におよぶ)。史実ではドイツ製機関砲のライセンス生産が試みられ、十分な数を供給することができなかったが、その代わりに日本海軍は陸軍の7.7mm弾を採用し、やがては日本で最初に開発された航空機関銃である12.7mm Ho-103を採用する。これによって、主に双発爆撃機の武装が改善される。
このシナリオでは、日本の航空機産業が強化されている(そのかわりに、ゲーム開始時のリソースが減らされているが)。その結果、史実では原型機から量産への移行に手間取った機種、例えばB6N, D4Y, G4M2などをより早期に生産できるようになる。試験は成功したが史実では大量生産はされなかった日本の四発爆撃機であるG8N1も1945年には使用可能となる。
また、性能を史実のものに近づけるため、スペックを修正された機種がいくつかある。プレイに影響を与えそうな変更点としては、
初期の日本戦闘機(Ha-35搭載ゼロ戦とKi-43)の高空でのmaneuverabilityが減らされた。
G4Mのdurabilityがすこし増やされた。G3Mのdurabilityは少し減らされ、G4Mが旧型機に対してもっていた優点を際立つようにされた。
E16A1 Paulのnormal rangeは意図的に短く設定されていたが、それをなくした。
Ki-44はHa-35ではなく、史実と同様に中島Ha-34エンジンを使用する。
Ki-61の後期型の性能がすこし改善された。Ki-100はかなり性能がアップされた。史実での評価は、特にKi-100について素晴らしいのに、WitP AEでは失望させられるだけだったので。
Ki-67-Ibの魚雷搭載性能が復活された。
古いロシア製戦闘機のmaneuverabilityが不当に低かったのを修正し、Nateよりmaneuverabilityが優れていたことを再現した。
以下の機種がこのシナリオに加えられた(史実では原型機か量産初期の段階にあったG3M4Qと、その他はすべてゼロ戦)。
A6M3bがA6M3aのかわりに加えられ、航続距離の代わりに武装と防弾を重視した点をはっきりさせた。
航続距離の代わりに武装と防弾を重視するコンセプトを受け継いだA6M4, A6M4-J, A6M8-JがA6M3bの後継機として加えられ、これらの機種は三菱Ha-33エンジンを使用する。
史実ではA7M2の後継機だったA7M3が加えられ、carrier-capableで6丁の20mm機関砲が特長。A7M2の生産ラインは、A7M3-JではなくA7M3にアップグレードされる。
史実ではB7M2の後継機だったB7A3が加えられ、この機種は三菱Ha-43エンジンを使用する。
三菱Ha-43エンジンを搭載し、armorのあるD4Y5が加えられる。D4Y3はD4Y5にアップグレードされる(D4Y4は史実では特攻用の機種だった)。
G3M4-Q。NellのASW用バージョン。
G8N1。高速で航続距離の長い四発爆撃機
J6M1。Ki-83の海軍機バージョン
N1K4-A。carrier-capableな紫電 
N1K5-J。高高度迎撃用の紫電。三菱Ha-43エンジンを使用
靖国。Ki-67の海軍機バージョン。「靖国」は実際にはこの機種を使用した海軍部隊の名前だった
が、この機種自体の名前を見つけることができなかったので、靖国と名付けた。
このシナリオを使ったAARでのコメントに対して
アメリカ海軍はマル4計画のかなりのところを察知していた。翔鶴級の3番艦が含まれることを知っていたし、河内級に対抗するためにアラスカ級を計画し建造した。仕上がりも内容も、このmodはやりすぎなんてことはない。私がシナリオ1を元にこのmodをつくったのもそれを考慮してのことだ。このmodはJFB(Japan Fan Boy)御用達の偏ったmodではない。新しい機種のゼロ戦が含まれてはいるが、私たちが採用した新機種よりも多くの点で優れているJackはこのmodには登場しない。初期の機種はより早く登場するが、かわりに後期の機種は航続距離と速度が低下し登場も遅くなっている。
艦船に関しては、役立たずの信濃は計画さえされず、優秀な大鳳とその姉妹艦2隻は建造中止とされている。日本は史実より24隻余計に駆逐艦を就役させるが、すべて夕雲型か秋月型だ。これらはすべてマル4計画で予定されていて完成しなかったものだ。山本は史実より多くの海軍工厰を所持し、そのいくつかを駆逐艦に特化させることで建造期間を3~5ヶ月短縮することができたわけだ。Kaigunにはそれに関する詳しい記述がある。利根級の重巡洋艦2隻は計画通りに追加発注される(新しい船級ではなく利根級として)。阿賀野級は、設計に関する議論に24ヶ月も費やすことがなく、スリップウェイを追加され、同型艦として建造される。大淀と仁淀は、計画通り阿賀野級の5番艦6番艦として完成する。
このシナリオはJuanの作成したmodのようなファンタジーではない。AARによると彼らのmodには面白い点がたくさんあるようだが、極端すぎる。私たちは、いくつかの特長を加えたが、ゲームの終わりを台無しにしない、よりもっともらしいシナリオを作成・配布した。追加された特長に要するfuelやサプライは、日本の当初の備蓄から差し引かれている。帝国は準備のより整った状態で開戦を迎えるが、可及的速やかに原油と資源を獲得する必要性がより高まっている。
もう一つ注意しておくべき重要な点は、変更点の90%は日本海軍関係で、10%のみが陸軍に関する事項という点だ。いずれにせよ、日本陸軍のOOBはほとんど変更されていない。
最後に、連合軍プレーヤーには偵察機や地上部隊・航空部隊などの細々したものが南東太平洋に追加されている。
Juanによる付言
潜水艦の魚雷、艦船の弾薬の搭載量、艦砲の精度と貫通力、ある種の武器の分類、機雷生産量などの分野に変更が加えられた。各分野での変更の実際は以下の通り、
潜水艦の魚雷
DaBabe modから潜水艦の魚雷の変更をいただき、パッチ3で導入された潜水艦の魚雷発射ルーチンを利用することができた。これにより、潜水艦の魚雷の発射数が目標によって異なる数になった。高価値目標には多数の魚雷が発射され、駆逐艦や小さな艦艇にはより少数が発射される。
艦船の弾薬の消費量
オリジナルのWitP AEのシナリオでは、砲の発射回数の約10%を艦砲の消費弾薬量とし、両用砲については調整が加えてある。しかし、パッチ2で修正された艦砲の精度の変更を考えると、大口径の砲は一回の戦闘で弾薬を消費し尽くしてしまうことになるが、実戦でそんな事態が起こったなんて話は聞いたことがない。砲の発射回数と発射速度に基づいてデータベースの弾薬の数量を修正し、また両用砲にはさらに修正を加えた。これにより、おおむね利用できる弾薬量が増えたが、イギリスや日本の駆逐艦では弾薬量がわずかに減ってしまったものもある。軽対空砲の弾薬量も多くの場合に増える方向に修正された。
艦砲の精度と貫通力
ある種の艦砲の精度に変更が加えられた。もっとも大きな変更は、日本の65口径10cm両用砲と60口径8cm両用砲の性能向上と、日本の初期(A型とB型)の50口径12.7cm砲の性能低下である。また8インチ以上の艦砲の貫通力はわずかに低下した。
艦砲の分類
日本の駆逐艦は、それぞれが適切なタイプの50口径12.7cm砲のmountを装備しているものとみなされ、半分以上の艦が主砲を両用砲としてつかうことができなくなった。アメリカの 5in/54 Mk 16 mountは、高射角をとれる能力を反映して両用砲に分類しなおされた。
機雷の生産
すべての海軍のすべての機雷の生産量がオリジナルの2倍に増やされた。
変更点について少し
このmodにより、日本海軍の開戦時の状態をわずかに改善され、その後1942年を通じて強化し、1943年にピークを迎えるよ。
日本海軍の陸上部隊には、工兵や建設用車両が強化される。強化される数はそのユニットの大きさにより、建設中隊は工兵12分隊と建設車両2台が、また大きなHQユニットには工兵48分隊と車両10台が追加される。しかし、火力は増強されない。
上記とは別に、ドイツの88mm対空砲をいくつかの日本の対空ユニットに加えることにした。その多くは本土に配置され、一部は台湾、サイゴン、トラックに配備された。
航空機に関して日本のOOBに加えられた唯一の変化は、すべての96艦戦がゼロ戦アップグレードされたことだ。空母の飛行部隊の定数は満たされ、すべての空母の雷撃機はKateになった。これにより、80機ほどが追加された。
マル4計画は始まったばかりで、日本は新たに祥鳳と阿賀野と能代を入手する。






追記:昨日はまる一日Bloggerがトラブってました。書き込みができないのと、このエントリーは消えてました。ようやく復帰したので安心しました。あと、ググってみて知ったのですが、The Reluctant Admiralというのは、阿川弘之著山本五十六の英訳本のタイトルなんですね。


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